『レベルの高いサッカー』と『完成度の高いサッカー』
2つとも目指すべきサッカーの代名詞のような使われ方をすることが多いですが、僕はこの2つを似て非なるものと捉えています。
特にそれぞれを目指そうと考えた場合に、その強化のベクトルが全く違ってくると考えています。
『レベルの高いサッカー』とは、その言葉通りに水準の高いサッカーと捉えており、その評価方法は相対的に判断されるものだと捉えています。
つまり、たくさんの競争相手があって、その比較によって高水準に位置すると評価されたサッカーが『レベルの高いサッカー』です。
『完成度の高いサッカー』とは、自らのチームが持つ最大の能力を引き出せるカタチやチームが目指す理想のカタチを目標である完成形に定め、それに対しての達成度の高いサッカーだと捉えています。
つまり、その評価方法は他者との比較ではなく、絶対的な評価によってその達成度が判断されます。
少しだけですが、両者のベクトルの違いが浮かび上がってきたのではないでしょうか。
さらに、『レベルの高いサッカー』とは、U14にしては・・・とか、Jリーグにしては・・・とかの年齢や属性によってカテゴライズされた制限を設けないかぎりは、上には上のある性質のものであり、最終的にその最上位に控えるのはクラブチームではバルセロナやチェルシーといったUEFAチャンピオンズリーグの強豪チームであり、代表チームではブラジルやスペインといった2010年W杯優勝を狙う強豪国になります。
それに対して『完成度の高いサッカー』とは、少年サッカーチームであれ、JFLのチームであれ、どんなチームであっても、チームとしての完成度を上げるプロセスを充分に積むことができれば具現化することが可能です。
まぁ、これは相対的評価と絶対的評価という決定的な違いが生み出す当然の相違ではあります。
それでも、この違いをしっかりと認識することが、日本サッカーの強化を考える上でかなり重要であると僕は考えております。
少し短絡的ではありますが、物事をシンプルに見通すために乱暴に言わせてもらうと、『レベルの高いサッカー』を構築するのは選手個々の高い能力であり、『完成度の高いサッカー』を具現化するのはチームの高い機能性だと捉えています。
つまり、この2つはそれぞれ選手個々の能力向上とチームとしての機能向上の両ベクトルを表すものであり、日本サッカーの強化にとってはどちらも必須の目標になる筈です。
ただし、難しいのはそのバランスであり、日本サッカーにおけるどのカテゴリーやどのタイミングで、2つの目標をどのようなバランスで取り入れていくのか。
勿論、選手個々の能力向上を図る『レベルの高いサッカー』を求める取り組みは、育成世代からA代表までを通して全ての世代で継続的におこなわれていかねばならないと想います。
ただし、A代表は勿論、各育成世代においても多少のサッカーエリート偏重のメンバー固定の弊害が出たとしても、チームの機能性向上を求める『完成度の高いサッカー』への取り組みも進めていかなければ、要所要所に控える国際大会での経験値を積むことができなくなってしまいます。
また、かつてのトルシエのように、1つの世代を中期的に鍛えることで、選手個々の成長とチームの熟成の相乗効果を狙い、『レベルの高さ』と『完成度の高さ』の両方を追い求めたケースもあります。
ただし、その偏った強化バランスは1つの輝かしいピークとともに失われた世代を同時に生むことになり、継続的な強化という観点からは少し異質な光を放っていました。
いずれにしても、今回は『レベルの高いサッカー』と『完成度の高いサッカー』についてのお話でした。
この2つの表現とそれが目指すそれぞれのベクトルについては、以降の日本代表や育成問題に対する記事でも頻繁に顔を出すでしょうから、今回はその認識に触れさせていただきました。
それでは、今回はこの辺りで。
同居人 Pu-er