J1も開幕したことで、ACL組の4チームにとってはいよいよ厳しい日程がスタートしましたね。特に、ACLのグループステージに関しては、東アジア勢である韓国・中国・日本のクラブ間の実力差はもうほとんどなくなってきていると感じます。それは外国人助っ人の質に関してもほぼ同等に感じますし、各国選手たちの特徴においてはそれぞれのプラスマイナスの総和が拮抗しているように想います。日本人選手のプラス要素は速いパスワークと組織的な守備力ですが、その分マイナス要素としてフィジカルの弱さ・球際の弱さ・シンプルなスピード勝負の弱さといった部分が韓国・中国選手と比較するとはっきりと浮かび上がってきます。これは先の東アジア選手権を観ていても同じ感想を持ったのですが、速いパスワークといった強みは本当に身体の芯に染み込むまで高めていかないと、気候・ピッチ状況・選手コンディションなどで大きく左右されてしまう脆い性質のモノです。それに対して、フィジカルの強さ・球際の強さ・運動量・スピード・高さといった要素はどのようなスタイルのサッカーを目指すにしても基礎的な部分として必要になってくる、言わばサッカーにとっての体幹の部分です。このサッカーにおける体幹の部分において大きく後れを取ってしまった日本サッカーが東アジアのコンペティションで大いに苦しむ、そんな時代が今年からは顕著になっていくと想います。では、ACL第2戦の結果とそれぞれの雑感です。
全北現代(KOR) 1−2 鹿島アントラーズこの試合についての雑感はこちらの記事で
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ACL第2戦 全北現代 V.S. 鹿島アントラーズ川崎フロンターレ 1−3 北京国安(CHN)もの凄い雪の降る中での試合でしたね。使い古された言葉ですが、風が吹こうが雨が降ろうが雪が吹きつけようが相手も同条件です。勿論、よく慣れ親しんだピッチの感覚も失われ、ホームとしての利点を充分に得る事はできなかったかもしれませんが、北京国安も数十人のサポーターしかいない孤独な状態で闘っていました。総体的な感想として、この蹴り合いを制したのが、球際の強さと切れない集中力を見せた北京国安であったのは妥当な結果だったと想います。
前半の川崎は有効な速攻を繰り出す事ができずにパスを廻す選択をしましたが、それが相手の堅くて強い守備にことごとく引っ掛かる展開になっていました。そして北京国安は無駄なパスワークを省き、ひたすら前線裏への放り込みというサッカーに徹していました。すでに開始10分の時点で雪が積もり始めておりましたので、パスワーク主体のサッカーは難しく、一方でDF裏へのパスが水溜りや雪で止まるような状況がいつ生まれてもおかしくないピッチ状態になり始めていました。
そして40分前にその懸念が現実となり、川崎の最終ラインからの力の無い不用意なミスパスを中盤の高い位置でカットした北京国安がCB裏への1本のパスを通して先制しました。やはり、このピッチ状況での裏のスペースに対するリスクマネジメントが川崎には足りておらず、それを修正する動きもありませんでした。ただし、その後の反撃で奪ったコーナーキックですぐに同点に追いつき、流れとしては川崎優位な雰囲気の中で後半を迎えました。
その後半ですが、相変わらず北京国安は裏への放り込みを繰り返し、攻撃に割く人数も4人までで決してリスクは犯しませんでした。相手は常に6人は守備に残っていますので、川崎は押し込んでもなかなか崩せず、有効な速攻もできないままでした。そんな中で65分頃に北京国安に勝ち越しゴールが生まれます。裏1本+押し上げ1人の単純な攻撃でしたが、この攻撃で唯一の中盤から押し上げてきた選手を川崎はフリーにしてしまいました。
その後の80分までは4人で攻める北京国安に圧倒され、80分以降は守備固めの選手交代を始めた相手のゴールキックからのプレーで失点してしまいます。ゴールキックに中盤で誰も競らず、フリーでヘディングしたボールがDF裏へのパスとなりループシュートで川島の頭上を抜かれてしまい、1−3。これで万事休すでした。
北京国安が普段からどの程度の戦術的な引き出しを持つチームなのかは判りません。ただし、この
雪上サッカーというTPOを的確に捉えていたのは彼ら北京国安であり、こういう状況でもっとも大事な球際の勝負においても競り勝っていたのも彼らでした。
川崎は集中力が無いというよりは、攻守においてポイントが絞れていないために、ここ一番の咄嗟の判断が遅れるというよりも出来なかったという感じです。ライバル2チームに後れを取った事でグループリーグの戦いは厳しくなりましたが、逆に若手選手の国際経験の場としてもっとこの舞台を活用してほしいとも想います。
いずれにしても巻き返しに期待したいです。
ガンバ大阪 1−1 河南建業(CHN)雨も降り寒いピッチコンディションであったかもしれませんが、先日の川崎のような雪合戦に比べればマシだったでしょう。まずは前半立ち上がりから得点の匂いをさせていたガンバでしたが、意外な脆さを見せて先制点を奪われてしまいます。自陣右サイドで相手ボールホルダーに2人掛かりのプレスを簡単に突破されてしまい速いグラウンダーのクロスによって崩されてしまいます。このシーンは守備の厳しさや責任感が欠如していました。その後、反撃から押し込んでPKを得たガンバは同点としますが。ここでPKキッカーを務めたのはルーカス。やはり遠藤は疲れが溜まっています、それも肉体よりも精神的な疲れの方が先に現れ始めているようで心配です。
同点後のガンバも流れの中から決定機をなかなか作れません。河南建業は遅い攻撃に対しては4−4−2の守備ブロックをしっかり作っていましたが、決して引いて守っていた訳ではなく、攻撃時は4−2−2−2や4−2−4のようなカタチで前線に人を送り込んでいました。ガンバとしては明らかにサイドからのカウンターで崩せる状態だったのですが、
なかなか有効なロングやミドルパスが見られず、結果としてサイドを使った速いカウンターも生まれませんでした。せっかくスタメンからルーカス、チョ・ジェジン、PJという3枚のFWを起用してきたのですから、
誰かがワイドポジションに開いてロングパスを受けてからの速攻という展開をもっと演出するべきだったと想います。
後半は一方的に押し込んだガンバでしたが、ゴール前やバイタルにスペースはほとんどなく、一転して引いて守る相手を崩しきる事はできませんでした。
これで2戦2分けとなりましたが、この成績は現状のガンバのチーム状態と今季のACLのレベルをよく反映した成績だと想います。毎年、この時期のガンバは新戦力の外国人FWと中盤以下の継続的なスタイルに身を浸した選手たちとの融合の時期であり、高いチーム機能を見せられる時期ではありません。ただし、
今季は期待の新外国人FWと呼べるような存在は正直いないために、例年のような5月以降のチームの伸びしろもそれほど感じられません。PJ、チョ・ジェジン、ドド、ゼ・カルロス・・・。これらの選手に大きな期待はできませんが、せめてチームにフィットしてくれればもう少し得点力は上がるでしょうが、個人的にはFW山崎を失ったのがかなり痛いと分析しています。
とは言え、なんとかGL突破は果たしてくれるでしょう。ただし、今季のガンバは確実に1位突破するだけの抜き出た存在ではないと想いますので、主力選手の疲弊は続くと想います。
浦項スティーラーズ 2−1 サンフレッチェ広島昨季のFC東京もそうでしたが、攻守の両面でよく整備されたバランスを持つチームを流れの中で攻略するのは難しいです。現状の広島もそういうチーム機能を備えていると想います。ただし、そういうチームが
セットプレーでの脆さを見せた場合には、相手チームはその弱点を嵩にかかって攻めてきます。ストヤノフを中心としたロングフィードの出所である最終ラインにプレスを掛け、前線の寿人には厳しいマークをつけ、2列目以降の選手には時間とスペースを与えないプレスを仕掛けながら厳しいボールチェックを続ける、広島の攻撃を抑えるための常套手段はこんな感じなのでしょう。ここで、
2列目以降の選手たちが相手プレスをかいくぐってフリーでボールを持つ回数を増やしていけば有効な攻撃にも繋がるのですが、現状の広島選手たちにはその覇気が見られず、2〜3人のアイデアでそれを切り崩していこうという工夫も見られません。この試合でもトップスピードのプレーを観たのは、PKを貰った槙野の侵入ぐらいだったと想います。
攻撃をある程度抑え込む事に成功すれば、あとは点を取るだけです。浦項は昨季のACLチャンピオンらしく流れの中でゴール前へと攻め入りましたが、ストヤノフを中心とした堅い守りを崩せませんでした。ならばという事で、セットプレーです。1点目のバックヘッドは素晴らしかった。あれは広島でなくても防げなかったと想います。ただし、決勝点となったロスタイムの2点目は、まずはキーパーの西川の判断ミス。これをGKのミスと言うのは厳しいかもしれませんが、ボールの落下地点に敵味方の団子状態ができあがっていた事は察知していなければなりません。そこには味方DFも競り合う態勢ができていましたし、西川の跳び出しのスピードや身体の強さを考えれば、ボールに触れられない可能性はかなり高かったと想います。彼の姿は同点に追いついた事で冷静さを欠いていたように見えました。そして、フワリと浮き上がったボールに1度、その後またしても浮き上がったボールに1度、合計で2度も浮いた球に競り合えるチャンスが広島にはありました。しかしながら、ゴール前でのこの2度の競り合いのチャンスに広島DFは全く勝つ事ができませんでした。これは悲しい失点でした。僕がこの最後の失点シーンで想いだしたのは、中学2年生の時に高校1年生のチームと練習試合をして完全に崩された訳ではないのに、高さ・強さ・スピードの圧倒的な差で失点を重ねた時の記憶でした。その時に僕が感じたのは、どんなに中学生が素晴らしいチームを作ったとしても基礎体力や身体的能力の違う高校生には勝てないんだなという想いでした。何かそんな想いが蘇ってくる今回の広島の戦いでした。
ただし、あの時、気持ちで負けていなければ高校生にも勝てたのではないかと今更ながらに想います。広島はJを代表するような機能美を持ったチームですので、必ず挽回してくれると信じて応援したいと想います。
ただでさえ、このJリーグが開幕する早春の時期は個々の選手のコンディションもまだピークではなく、チームとしても今季の機能性を探りながらの様子伺いの状態です。そんな中で始まったACLのグループリーグの戦いですが、このグループリーグの戦いには必ず韓国と中国のチームが1つずつ含まれています。韓国は代表においては日本よりも数段強く、クラブチームにおいてもまさに同等という評価が正しいと想いますが、実は中国もクラブチームの実力においてはもう日本と遜色無いところまで来ております。どうしても、代表チームの数年前のラフプレーやW杯予選での早期敗退によって中国は格下というイメージができあがっていますが、日本のサッカーバブルの時期の成長の凄まじさを想い出せば、それが隣国の中国にだって起こりうる事は想像できると想います。継続的な成長ができるかどうかについては甚だ疑問ではありますが、現状は日本に迫る勢いを持っているという事です。
さらに韓国や中国には、冒頭でも述べましたがスピード・高さ・強さを兼ね備えたフィジカルの強さと伝統的な球際の強さがあります。これは残念ながら日本はこの2国にずいぶんと後れを取ってしまいました。これらの要素をサッカーをする上で基礎的な要素と見なすかどうかは、それぞれのサッカー観によって変わってくると想います。ただし、少なくとも僕はどんなサッカースタイルを目指すとしても、これらの要素はプラスになるものだと考えています。そして、その基礎的な部分で後れを取ってしまった日本が、次に何を求めていかなければならないのかを教えてくれる格好の舞台がこの毎年行われるACL、それも特に韓国・中国・豪州との対戦が望めるこのGLなのだと想っております。
Jから参加している4チームは今季のACLのGLで大いに苦しむと想います。下手するとBEST16には2チームしか進めないかもしれません。それでもその現実が日本サッカーに危機感を伴ってフィードバックされれば、実に有効な経験となるように想います。疎まれるACLのGLこそが実はJクラブやJを背負っていく若手選手たちにとっては最大の学びの場となるような展開を望みながら、厳しい戦いを続けるJクラブの4チームを応援していこうと想います。
同居人 Pu-er

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